絵彩のチタンボトル(ブルー/エベレスト)を、シンクでやわらかいスポンジを使って洗っているところ

水筒のコーティングが剥がれた。そのまま使って大丈夫?

この記事でわかることは次の3つです。

  • そのまま使っていいのか、いけないのか
  • 飲み込んでしまった片は、どうなるのか
  • 剥がれる原因と、次に選ぶときの見方

水筒の内側をのぞいたら、黒い加工がまだらに剥げていた。外側の色が欠けて、下から銀色が見えている。

気持ちのいいものではありませんし、口に入っていないかも気になります。

使っても大丈夫。ただし使い続けるのは勧められていません

剥がれた水筒を今日明日使ったからといって、体に害が出るという話ではありません。

ただし、そのまま使い続けることはメーカーが勧めていません。理由は毒性ではなく、汚れとサビです。

フッ素加工がはがれた状態で使用すると、汚れがつきやすくなったり、腐食しやすくなったりするのでそのまま使用するのはおすすめできません。

象印マホービン「水筒内面のフッ素加工って何??特性と使用するうえで気をつけるポイントをご紹介!」(2024年6月10日公開)。腐食とは、サビなどで金属が傷むこと。

つまり「すぐに危ないわけではないが、次を探し始めてよい段階」です。買い替えまでのあいだの使い方は、このあとに書きます。

飲み込んでしまった片は、どうなるのか

剥がれに気づく前に、欠けた片を飲み込んでいたかもしれない。ここも気になるところだと思います。

こちらも心配いりません。体に吸収されず、そのまま通り抜けます。

剥がれ落ちたコーティングの薄片を飲み込んでも、体に吸収されず体内をそのまま通り抜けるため、毒性を引き起こさないとされています。

食品安全委員会 ファクトシート「フッ素樹脂」(2012年)。ドイツ連邦リスク評価研究所の見解を引いたもので、同研究所は2025年時点でも同じ説明をしている。フッ素樹脂は化学的に安定していて、体内で分解されないことが理由。

水筒の内側と外側では、話がまったく違う

同じ「剥がれ」でも、内側と外側は別の問題です。

内側は飲み物が直接触れる場所なので、体に入るかどうかの話になります。外側は主に見た目の話で、その下にあるのは水筒本体の金属です。

ここから先は内側の話が中心です。外側だけが剥がれている方は、途中の「外側が剥がれたとき」まで飛ばして構いません。

内側が剥がれたとき

内側に施されているのは、多くの場合フッ素樹脂という材料の膜です。汚れをつきにくくするためのもので、フライパンの表面と同じ仲間にあたります。

剥がれると、汚れとサビが増える

膜が剥がれた場所は金属がむき出しになります。そこに汚れがつきやすくなり、サビも出やすくなります。メーカーが使い続けを勧めないのは、この2つが理由です。

買い替えまでのあいだ、どう使うか

むき出しになった金属からは金属がわずかに溶け出しますが、その量が健康の問題になったという報告は見当たりません。

そのうえで、次の3つを守ってください。

  • スポーツドリンクやレモン系など酸性の飲み物を入れない。金属が溶け出す量は、水より酢が多く、クエン酸(レモンなどの酸味のもと)ではさらに多くなります
  • 熱い飲み物を何時間も入れっぱなしにしない。温度が高いほど溶け出しやすくなります
  • その日のうちに洗って、しっかり乾かす

溶け出す量と条件の関係は、河村葉子ほか「ステンレス製器具及び食器からの金属の溶出」食品衛生学雑誌 38巻3号 170-177(1997)による。

麦茶や水を入れて、その日のうちに洗う。この使い方であれば、買い替えまでのつなぎとしては問題になりません。

どのくらい剥がれたら買い替えか

面積の目安は、どのメーカーも示していません。少し剥げた場合と、大きく剥げた場合を分けた説明もありません。

そのため実際の判断は「剥がれを見つけたら、次を探し始める」になります。剥がれは進みこそすれ、元には戻らないためです。

買ってから日が浅いのに剥がれた場合は、購入したお店かメーカーに相談する価値があります。使い方に問題がなかったのであれば、対応してもらえることがあります。

保温が落ちたわけではない

内側が剥がれると壊れたように感じますが、保温の力は別のところが担っています。

水筒が温度を保てるのは、内側と外側の壁のあいだが真空になっているからです。内面の加工は汚れ対策のもので、保温には関わっていません。

保温が落ちるのは、強くぶつけて大きく凹んだときです。公的機関の試験でも、性能が落ちたのは大きな凹みができた製品だけでした。

埼玉県消費生活支援センター「ステンレス製水筒に関するテスト」(2026年3月公表)。市販8製品に10kgずつ力を加えた試験で、30kgで小さな凹みが出た段階では8製品すべて性能に変化がなく、40kgで大きく凹んだ2製品だけが低下した。40cmの高さからの落下では、いずれも変化なし。

外側が剥がれたとき

外側の色は、ほとんどの製品で塗装です。ステンレスの上に塗料の層を乗せて、色とさわり心地を出しています。

剥がれても、下から出てくるのは水筒本体のステンレスです。飲み物に触れる場所ではないので、内側ほど気にする必要はありません。

ただし塗装が剥がれるということは、それだけ強くこすったか、洗い方が合っていなかったということでもあります。同じ扱いをしていれば、内側も傷んでいる可能性があります。

剥がれる原因は、ほとんどが洗い方

ぶつけて欠けることもありますが、多くは日々の洗い方が原因です。象印マホービンは、内面のフッ素加工について次のことを避けるよう挙げています。

  • シンナー、ベンジン、みがき粉、クレンザー、塩素系漂白剤などで洗う
  • メラミンスポンジ、金属たわし、研磨剤入りたわしなどで内面をこする
  • 強い力でごしごしと内面をこすって洗う
  • 水や洗剤に長時間つけ置きする
  • 使用後にお手入れをせずに放置する

それぞれの理由までは書かれていません。ただ塩素系漂白剤については、埼玉県消費生活支援センターが各社の説明書を調べたところ、8製品すべてが使用を禁じており、理由は「サビや傷など製品の損傷」と記録されています。

においや茶渋が気になると、つい漂白剤や研磨するものに手が伸びます。それがいちばん膜を傷めます。においを落としたいときは、塩素系ではなく酸素系の漂白剤を使ってください。水筒の金属臭の原因は何かで、メーカーが案内している手順をまとめています。

自分の水筒がどのタイプか調べる

水筒の内側は、大きく3つに分かれます。どれなのかは、取扱説明書か通販サイトの「材質」の欄に書かれています。「内びん」「内面」という項目を見てください。

材質欄の書かれ方 何のためか 剥がれるか
ステンレス鋼(フッ素コート/フッ素樹脂塗膜加工) 汚れがつきにくい 剥がれる
ステンレス鋼(セラミック塗膜加工) 金属のにおいが出にくい 剥がれる
ステンレス鋼のみ/チタン 膜を持たない 剥がれる膜がない

「塗膜」は塗った膜という意味。表記にこの字が入っていれば、金属の上に別の材料を乗せていることになる。

上の2つは目的が違いますが、金属の上に別の材料を乗せている点は同じです。乗せている以上どこかに境目があり、そこから剥がれます。

3つめには剥がれる膜がありません。そのかわり金属そのものの性質が出るので、ステンレスなら金属のにおいが出ることがあります。膜で覆うか、におわない金属を使うか、という選び方に変わります。

次に選ぶときは、材質欄に「塗膜」の字があるかどうかを見てください。膜はいつか必ず傷みます。剥がれで悩みたくないのであれば、選ぶ段階で膜の無いものを選ぶのが確実です。

膜を持たない水筒という選び方

絵彩は純チタン(ほかの金属をほとんど混ぜない、チタンだけの金属)の水筒で、内側に膜を設けていません。チタン自体が金属の溶け出しにくい素材なので、覆う必要がありません。

外側の色も塗装ではありません。チタンの表面そのものが酸化してできた層で、塗料のように上から乗せたものではないため、境目がなく、剥がれるという壊れ方をしません。色も色素ではなく、その層の厚みによって生まれています。シャボン玉が虹色に見えるのと同じ仕組みなので、色あせもしません。

剥がれと縁を切りたい方に向いています。

絵彩 公式サイト

まとめ

剥がれた水筒は、今日明日で危ないわけではありません。ただしメーカーが使い続けを勧めないのは、毒性ではなく、汚れとサビのためでした。

飲み込んでしまった片は、体に吸収されずそのまま出ていきます。

参考文献

1. 食品安全委員会 ファクトシート「フッ素樹脂」(2012年)
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/f02_fluorocarbon_polymers.pdf
2. 象印マホービン「水筒内面のフッ素加工って何??特性と使用するうえで気をつけるポイントをご紹介!」(2024年6月10日)
https://www.zojirushi.co.jp/kakushiaji/article/001275/
3. 埼玉県消費生活支援センター「ステンレス製水筒に関するテスト」(2026年3月)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/278903/r07_test_report_stainlessbottle.pdf
4. 河村葉子ほか「ステンレス製器具及び食器からの金属の溶出」食品衛生学雑誌 38巻3号 170-177(1997)

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